オークション用途の検討(イベント物販の拡張)
- 調査日: 2026-10-29
- データ時点: 2026年10月
- 状態: 可能性検討(現行のテストでは実施しない)
- 親: README.md / 関連: event-merch.md / pilot-league.md / business-case.md
「特定の時間だけ入札できる」オークションを、イベント物販の拡張として使えるかを整理する。
本ドキュメントは将来の可能性の整理。現行のリーグ戦パイロット(pilot-league.md)では実施しない。
1. 結論
- 使える。 ただしカートの延長ではなく、ロット(出品)+入札+時間窓+落札の追加モジュール。
- リーグ戦の物販との相性は良い(サイン入りユニ、限定グッズ、一点物、文脈)。
- 最初は サイレント(封印入札)+時間窓+受取時に検品+Terminal決済 に絞る。
- 「オークション事業」ではなく、イベント内の高単価販売機能として扱う。
2. 向く / 向かない
| 向く | 向かない |
|---|---|
| イベント限定・一点物・高単価 | 大量SKUの通常物販 |
| サイレント/タイムド | ライブオークション(司会・競り) |
| 受取時決済(会場で受け取る) | 遠隔・配送前提のオークション |
| 少人数・閉鎖的・文脈がある | 大規模・高頻度・匿名 |
3. 機能要件
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| ロット | 開始価格、最低刻み、予約価格(reserve)、即決価格 |
| 入札 | 封印(サイレント)/公開、最大額、代理入札は任意 |
| 時間窓 | ロットごとの開始・終了。サーバー時刻で判定 |
| 延長 | 終了直前の入札で延長(anti-sniping) |
| 落札 | 最高額、予約価格到達、同額時の先着 |
| 次点 | 未払い・辞退時に次点へ(任意) |
| 支払 | 受取時に Terminal。検品後に決済 |
| 通知 | 競り負け、落札、期限間近 |
| 入札者識別 | 会員コード/連絡先(落札連絡のため) |
4. 時間窓の設計(「特定の時間だけ」)
- サーバー時刻で open/close を判定する(クライアント時刻を信用しない)
- ロット単位・イベント単位の両方を設定可能に
- 終了直前の入札で延長(例:最後の2分に入札→2分延長)
- 締切後の入札は
409 WINDOW_CLOSED - 表示は JST、保存は UTC
- 入場制限(特定時間だけ画面を開ける)も同じ仕組みで実現
5. 状態遷移
SCHEDULED → OPEN → CLOSED → WINNER_DECIDED → PAID → PICKED_UP
│ │
│ ├→ NO_BID / RESERVE_NOT_MET
│ └→ NO_PAYMENT → 次点 or 再出品
└→ CANCELED
OPENの間だけ入札可能CLOSED後に落札判定(バッチ or 締切イベント)PAIDは受取時の Terminal 決済NO_PAYMENTは受取期限で判定
6. データモデル(追加分)
| PK | SK | 主な属性 |
|---|---|---|
EVENT#{eventId} |
LOT#{lotId} |
開始価格、刻み、reserve、即決、openAt、closeAt、状態 |
LOT#{lotId} |
BID#{bidId} |
入札者、金額、時刻、封印/公開 |
LOT#{lotId} |
META |
最高額、最高入札者、入札数、延長回数 |
BIDDER#{bidderId} |
META |
連絡先、同意、制限 |
EVENT#{eventId} |
WIN#{lotId} |
落札者、金額、支払状態、受取状態 |
- 入札は条件付き書き込み(現在の最高額+刻み以上のみ受理)
bidIdで冪等化(二重送信防止)- 監査ログ(誰が・いつ・いくら)
7. 同時性・競合
| リスク | 対策 |
|---|---|
| 同時入札で最高額が壊れる | 条件付き更新/楽観ロック |
| ホットロットの集中 | キューで直列化、リトライ |
| 終了間際の大量入札 | 延長ルール、サーバー時刻 |
| 二重入札 | bidId 冪等 |
| 不正・談合 | 入札履歴の監査、規約、必要なら本人確認 |
8. 支払・受取
- 落札者はブースで検品 → Terminal 決済 → 受渡
- 未払い・ノーショー:受取期限を過ぎたら次点繰上げまたは再出品
- 返金・取消のルールを事前に明文化
- 高額・未成年・転売の扱いを決める
8.1 高額・記念品ロット(決勝牌など)
「雌雄を決した牌」「優勝を決めた局の牌」のような物語のある一点物は、通常の物販より桁違いの値が付き得る。ただし価値の源泉は真正性と文脈。
価値の源泉
- 物語(どの試合・どの局・誰が・何を決めたか)
- 一点物(現物は1つ)
- タイミング(決勝直後・優勝セレモニー)
- 証明(リーグ/チーム/選手のお墨付き)
- 展示(会場・配信で見える)
真正性の担保(ここが商品)
- チェーン・オブ・カストディ(試合終了→回収→封入→保管→受け渡しの記録)
- 試合映像・記録との紐付け
- リーグ/チーム/選手による証明書(COA)
- シリアル/封緘/ケース、改ざん防止
- 受け渡し時の本人確認と記録
設計
- 決勝直後に締切。会場展示+配信で告知
- 封印/公開、最低刻み、予約価格、延長(anti-sniping)
- 事前登録+本人確認+入札保証金(高額・いたずら防止)
- 支払:Terminal の上限を超える場合は販売主体の口座へ銀行振込(当社は資金を持たない)
- 受け渡し:会場で本人確認+証明書、または保険付き配送
リスク
- 真正性への疑義は価値をゼロにする。証明と保管が最優先
- 所有権(リーグ/チーム/選手の誰の物か)と販売主体を先に確定
- 選手・リーグの意向(記念として残したい場合がある)
- 高額決済・与信・返金・転売・保険
- 公正性(自作入札・談合の禁止、入札履歴の監査)
位置づけ
- 常用の収益源ではなく、フラッグシップ1点でPR・実証に使う
- 「コンテンツ→オークション」の説得材料として強い
8.2 観客参加型(会場)オークション
基本
- 会場のQR(席・入口・スクリーン)から PWAで参加。インストール不要
- 入札はワンタップ。最低刻みを自動表示
- **自動入札(max bid)**を用意し、見ていなくても参加できる
- 会場スクリーンに現在額・残り時間・リーダーを表示
- 試合の節目(決勝局の後・休憩・セレモニー)に締切
2層に分ける(気軽さと高額対応の両立)
| 層 | 対象 | 参加条件 | 決済 |
|---|---|---|---|
| 気軽 | 低額グッズ | 席番号/ニックネーム | 会場で Terminal |
| フラッグシップ | 決勝牌など高額 | 事前登録+本人確認+保証金 | Terminal/販売主体への銀行振込 |
- 「気軽」は摩擦を最小化(登録なし・1タップ・短い時間窓)
- 「フラッグシップ」は不正防止を優先(登録・保証金・上限)
- 同じアプリで
qualificationフラグにより切り替える
リモート(今回はやらない)
- 理由:本人確認・決済・受け渡し・不正・返品の負荷が一気に上がる
- 会場の熱と「その場にいる人だけ」の特別感が価値
- 将来:事前登録+保証金+保険付き配送で限定開放
リアルタイム
- 入札の即時反映(WebSocket/SSE、または1秒ポーリング)
- 競合は条件付き更新、時間はサーバー時刻
- 会場スクリーンは専用ページ(管理画面から操作)
運用
- 受付・決済・受け渡しの窓口を1つに集約
- 締切・延長(anti-sniping)・落札・次点のルールを事前に明文化
- 障害時:紙の入札/スタッフ端末で継続
リスク
- いたずら入札(高額は保証金、低額は電話/会員コードで抑止)
- 会場の通信(予備回線、紙のフォールバック)
- 支払い失敗・ノーショー(次点・再出品)
- 真正性・公正性(監査ログ、自作入札の禁止)
9. 法務・規制(要確認)
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 古物商 | 「誰が・どう売るか」で要否が変わる(§9.1) |
| 古物競りあつせん業 | 競りの方法で売買をあっせんする営業は許可が必要になり得る |
| 特定商取引法 | 通信販売の表示義務(氏名、価格、支払、返品) |
| 景品表示法 | 景品・賞品として扱う場合の上限・表示 |
| 税 | 消費税、源泉徴収(懸賞・賞金の扱い) |
| 公正性 | 談合・代理入札・自作入札の禁止を規約で明示 |
| 資金 | 販売主体(リーグ/チーム/物販会社)の口座へ。当方はソフト提供で資金を持たない |
| ライセンス | 選手名・ロゴ・サインの許諾 |
9.1 古物営業法(試合球の例)
- 試合で使ったボールは「一度使用された物品」=古物に該当する
- 許可が必要かは「誰が・どう売るか」で決まる
| 売り方 | 古物商許可 | 考え方 |
|---|---|---|
| チームが自分たちで使ったボールを売るだけ | 不要の可能性が高い | 「古物を売却することのみ」を行う営業は古物営業から除外 |
| 選手・第三者から預かって販売(委託) | 必要 | 委託売買 |
| 買い取って売る | 必要 | 古物営業 |
| 交換する | 必要 | 交換 |
| オークションのあっせんを業として行う | 古物競りあつせん業の許可 | 競りの方法によるあっせん |
- 「新品」でも「使用のために取引されたもの」は古物に該当し得る(新品=安全ではない)
- 古物商の義務:古物台帳、本人確認、記録の保存、管理者の選任、行商・競り売りの届出
- 別都道府県のイベント:仮設店舗・行商・競り売りの届出の論点がある
- 当社は販売主体・あっせん主体にならない(ソフト提供に徹する)。契約・規約で役割を明記する
- 最終判断は所轄の公安委員会・弁護士に確認する
例:チームが試合球を自ら出品するのは「自己使用品の売却」に近く、許可不要の可能性が高い。一方、選手から預かって代わりに売る、物販会社が買い取って売る、当社が入札をあっせんする、のいずれかなら許可の検討が必要。
「オークションを運営する事業者」になるのか、「ソフトを提供するベンダー」なのかで規制の当たりが変わる。資金と販売主体を持たない方針を維持する。
10. リーグ戦との組合せ
- 試合前にロット公開 → キックオフ前/ハーフタイム/試合後に締切 → ブースで受取
- コンテンツ文脈(選手・試合・限定)が強く、通常物販より単価が上がる
- 一点物・サイン入り・記念品と相性が良い
- 受取時決済なので、落札者が会場にいる前提。遠隔落札は対象外
11. KPI
| 指標 | 見たいこと |
|---|---|
| 入札率(ロットあたり) | 出品の魅力 |
| 平均入札数 | 競争の強さ |
| 落札額 / 開始価格比 | 価格形成 |
| 受取率・未払い率 | 運用の健全性 |
| 次点繰上げ率 | 未払いの影響 |
| 参加率(来場者比) | 導線の強さ |
| 滞在時間 | コンテンツとの相乗効果 |
12. リスク
| リスク | 対策 |
|---|---|
| 同時入札の競合 | 条件付き更新・直列化 |
| 未払い・ノーショー | 受取期限・次点・再出品 |
| 公正性・談合 | 規約・監査・本人確認 |
| 法務(古物商・特商法) | 事前確認 |
| スタッフの習熟 | 1画面・マニュアル |
| 通信障害 | フォールバック(紙・口頭) |
| 高額・転売 | 数量制限・本人確認 |
13. 未確定
- 封印入札か公開入札か
- 代理入札(max bid)を入れるか
- 延長ルール(何分前の入札で何分延長)
- 次点繰上げの有無
- 支払・受取の期限
- 古物商・ライセンスの要否
- 入札者の本人確認の強さ
14. 結論
- イベント物販の拡張として有望。特にリーグ戦の一点物・サイン入り。
- ただし「オークション事業」ではなく、イベント内の高単価販売機能。
- 最初は 1リーグ・数ロット・サイレント・時間窓・受取時決済 で検証する。
- 法務(古物商・特商法)と未払い対応を先に固める。